北海道ツーリング 1998年9月~10月

滝上浮樹浮木ランドツーリングレポート

仕事をやめて初めて1か月のロングツーリングにでかけたものの、その年は天気に恵まれず、ようやく晴れた最後の日。メットの中で、「お天気、最高~」と叫びながら、もう1度来ると決意してから約1か月後、9月に再び上陸した1998年2回目の北海道。
さらには帰宅した1か月間は、ツーリングクラブの九州~屋久島ツーリングに参加して、帰宅してすぐの出発だったので、いきなり南から北への移動になりました。
※前回のツーレポはコチラ

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9月12日(土)~14日(月) 9月の旅立ち

h3-harunire今回の旅には二つの目的がある。
一つは引き続き道の駅スタンプラリーに挑戦して、全駅制覇を目指すこと。
二つ目は、粗食に耐え、8月に大阪を出てから3キロもアップした体重を元に戻すこと。なのに、二つ目の道の駅にスタンプ帖を忘れてきてしまった。
気がついたのはもう100キロ以上走ってからのこと。しかたなく次の駅で新しいスタンプ帖を手に入れ、三石の道の駅に試しに電話してみたところ、事務所に届いていて、ここから先は新しいスタンプ帖で廻って、帰りに三石に寄ってまとめることにした。

一度は行ってみたかった襟裳岬だったが、本当に何もなく、黄金道路においては、工事による片側相互通行があちこちにあって、なんか時間を無駄に使ってしまったような気がしてならなかった。

管理人
何回も行っている中で、襟裳岬を訪ねたのは3回。
でも、快晴の日の襟裳岬の景観は行った甲斐がありました!

鶴居まではまだまだだというのに、地図を見ていると、ハルニレの木を見たくなって寄り道する。何てことない木なんだけどなぁ。

鶴居キャンプ場には5:00に到着。思ったよりもキャンパーがいて、一安心。
時期が時期だけに誰もいなかったらどうしうよう?と、ちょっと心配だったのだ。だが、夜の冷え込みはは思っていた以上で、夜中にエマージェンシーシートを取り出して、ようやく寝付けた。

9月15日(火) ノロッコ号に乗る

昨日の天気予報で雨を覚悟していたのに、なんとかもちそうなので、釧路湿原を廻ることにした。
細岡展望台から釧路湿原を眺め、宮嶋岬まで歩く元気はないので、塘路まで戻って一駅だけ湿原の中を、時速30キロで走るノロッコ号に乗ることにした。
本当は釧路まで乗ったほうが見ごたえがあるのだろうけど、戻ってくることを考えるとせいぜい1~2駅程度が手ごろで、次の細岡なら、木道を歩けるので、二時間弱の待ち時間も苦にならないだろう。
本当はお金に余裕があれば、どさんこ馬に乗って湿原の中を岬まで散策したいところだったけど・・・。

h3-norokkogou

達古武湖沿いの木道を歩いていると、
「⇒夢が丘展望台」という看板が目についたので、行ってみることにした。
しかしこれがとんでもない所で、展望台までの道すがら、ずっと蚊の大群が追いかけてくるのである。これには参った。
で、展望台というと、苦労して歩いたわりにはなんてことなくて、もちろん、相変わらず、蚊と戦っているものだから、「展望台でお弁当を食べる」という当初の目論見も果たせず、さんざん蚊に食われて退散した次第である。

塘路~鶴居までは地図上ではそんなに離れていないのだが、国道で回り道になるのでそこそこ距離を走らなくてはならない。
思いきって、コッタロ湿原を抜けるダートの最短コースを走ってみることにした。
8キロを30分ほどで抜ける。時間的に早いのか早くないのか?
ようやく道道53号に入ったと思ったら雨に降られてしまう。
それもキャンプ場に着いた頃には、やんでいてあと10分早く帰っていたら濡れずにすんだのに、選択を間違ったのか正解だったのか?

9月16日(水)強風、豪雨、台風5号上陸!

朝からやけにカンカン音がするなぁと思っていたら、台風5号が夕方に釧路に上陸するとかで、シャブ子(シャブ中のように天然にボケているからとついたキャンパーネームらしい)がペグを打つ音だった。
連泊組は落ち着いたもので、まるで楽しんでいるかのようである。
もちろん今日はオフにするしかなく、皆で近くのグリーンパークで温泉に入り、休憩室で延々とテレビの台風情報を見続けるのであった。

さすがに3時も過ぎると、窓の外の木立の揺れ具合も半端じゃなく、そろそろテントの重石になろうかと、それぞれのテントに引き上げて行った。
調理しないで食べれるものをあらかた食い尽くして、読書を楽しみながら、じっとラジオの台風情報に耳を傾ける。
優雅にウクレレを弾くキャンパーもいれば、オカリナで「北の国から」を吹くキャンパーもいる。私はトイレに行くのも命がけだというのに!
思わず、広い前室で????するのもありかな?と、思ったりもしたのだ、真剣に!(してないよ~~~)
ついに浸水が始まり、私のテントはウォーターベッドと化してしまった。
こうなるともう今夜はここで寝るのは諦めるしかない。
すべての荷物をごみ袋に包み、 エマージェンシーシートとマグライト、ラジオを持ってトイレに避難する。
4~5人のキャンパーがやはり同じように避難しており、身障者用のトイレの中では、便器をテーブルに自炊している者もいて、風が強くなると皆で、ダンボールを持ちこんでそのトイレにこもる事になった。

「pm9:00釧路に上陸」

と、ラジオのアナウンスが聞えたとたん、風がやんだ。
いわゆる「台風の目」というやつである。
外に出てみると、満天の星空。一安心してそれぞれのテントへ帰っていく。

私はというと、丁度張りっぱなしで、住人は知床にしゃけバイ(秋鮭収穫のアルバイト)に行っていて、空いてるテントがあったのでそこで寝ることにした。
安物だが大きなテントで中にはサマーベッドがあり、絶対浸水は大丈夫ということで、なんとか眠ることができた。しかしながら、再び深夜に台風の通過に伴う風の強さは怖いくらいであった。

管理人
最近いりびたりの鶴居キャンプ場。このころは車よりもライダーが多かったなぁ。

9月17日(木)台風一過

目覚めるとブルーシートで作った簡易のタープは引き千切れていた。
昨日の雨が嘘のようにすっかり水も引いている。

昨日で懲りたので、水はけのいい場所にテントを移動して、濡れ物を片付ける。
タオルというタオルも使い果たしていたし、防水も気になったので今日は洗濯とアウトドアショップ巡りに、釧路へ出かけることにした。
2~3件を廻って、防水剤と安物のシェラフカバーを買う。
これで雨対策と寒さ対策は一先ず安心。

9月18日(金)

「台風一過」とはなかなかいかず、今日も雨、である。

一日中、降ったりやんだり…らしいので、またもや今日はオフとする。グリーンパークで終日過ごす。
羅臼から、あのテントの主――鶴にぃ(鶴居に住み続けているので鶴にぃ)――が、テントが心配でやってきて、牛サガリ肉をご馳走になった。
炭は昨日掃除のおじさんがくれたクズ炭があったので、寒さしのぎの焚き火も兼ねての焼肉宴会となった。

9月19日(土)霧多布岬と落石岬へ

R274を弟子屈方面へ向かい、道道14号線で標茶を抜け厚岸まで。

遠くに阿寒富士が見え隠れして、牧草地帯が広がるなかなか気持ちのいいルートだ。

厚岸に入ると、太平洋がブルーに見える。
しかし霧多布というだけあって、海岸沿いを走ると、視界?メートルの霧に包まれ、ようやく抜けたと思ったら、目の前を青空に浮かぶ雲に混ざって、霧が流れて行くのが見えた。後には青空だけが残って、展望台からの眺めは爽快であった。

そのまま海岸沿いの北太平シーサイドラインを落石岬まで走る。
どこまで行っても、車もなく信号もなく停まることを忘れてしまいそうだ。

駐車場――といっても 行き止まりの未舗装の道――から岬まで30分ほど歩くと、ようやく灯台が見えてくる。ただ風が舞うばかりで何もない。
崖っぷちに立つと足がすくんでしまいそうで岬の極には近づけなかった。

道東ならたいていの所は鶴居からなら日帰りできるので、ついつい長居してしまう。今日で既に6日目だ。

きりたっぷ岬
きりたっぷ岬
落石岬
落石岬
落石岬
落石岬

9月20日(日)晴れた日のオンネトー

今日はオンネトーへ行こう。

本当はシュンクシタカラ湖の話を聞いて、行く気になっていたのだが、皆に狭い曲がりくねったダートであること、熊の足跡があったことなどを聞かされ「女の子一人では危ない」と止められ、晴れた日のオンネトーは行ったことがなかったので急遽変更したのだ。

オンネトー阿寒湖では観光はせず、洗濯をして、オンネトーへ到着。
日曜のせいか、観光客が多い。
前に来たのは天気の悪い日の夕方だったので、ただのどこにでもある湖だとしか思わなかったのだが、湖水の透明度が高いせいだろう、7色に変わるというのがわかるような気がする。
後ろに阿寒富士と雌阿寒岳を控え、絵葉書を見るようだ。
本当なら秋の紅葉が見頃らしいが、今年の北海道はどこへ行っても、春、夏と気温が高かったせいか、紅葉を待たずに落葉し始めている。
また今度、違う色のオンネトーを見てみたい。

そのままR241を足寄まで走る。ここもスタンプラリーの為。
大阪屋食堂でラーメンを食べる。可もなく不可もなくというかんじ。
後で聞くとここは味噌ジンギスカンというのが美味しいらしい。

R38からわき道にはいり、尺度の炭坑後というのを探してみたがわからなかった。

今回は20cmのフライパンを持ってきた。ようやくそれを使って今日はもやし炒めを作る。でも当初の目論見どおり粗食に徹している私には肉なしの本当の“もやしだけ炒め”?
情けないくらいにまずかった!

 

 

9月21日(月)~22日(火)ブレーキパットが・・・

結局、鶴居には1週間滞在したが、またもや次の台風が近づいているというので、大阪の友人から、ウトロにある民宿「酋長の家」を紹介してもらって、ただで泊れるというので、行って見る事にする。

津別峠通り道に、弟子屈からツーリングマップにも小さくしか乗っていない、津別峠へ行ってみる。
ここは数年前までダートで、展望台もようやく今年完成したばかりという穴場で、屈斜路湖の全貌と、阿寒富士、雌阿寒岳、雄阿寒岳のすべてが見渡せる。
美幌峠より遥かにすばらしい景観。

峠を下ると女満別を過ぎれば、あまり街らしい街もなさそうなので、美幌町のヤマハでオイル交換をした。

能取湖のサンゴ草サンゴ草で有名な能取湖へ行ってみたが、時期が遅かったのか、台風で水没してしまったからか、えらくくすんだサンゴ色だ。

そういえば昨日から気になっていたのだ。
何故さっきオイル交換したときに気がつかなかったのだろう。
どうもフロントのディスクが鳴っているようなのだ。こわごわブレーキパッドを見ると、完璧になくなっているではないか!
さっきのヤマハに電話してみたが在庫はないとのこと。
北見にARKがあるからそこへ行ったら多分あるだろう、と、教えてもらって、来た道を引き返す。

在庫はあってことなきを得たのだが、フロントのベアリングもいかれてるといわれ、結局、今日一日でバイク屋に払った金額は19700円。思わぬ大出費である。

そんなこんなで予定時間を大幅に遅れて、酋長の家へ着いた。
教えられたとおりに「××さんから聞きました」というと、住みこみ部屋のような所へ案内され一部屋をあてがってもらった。

うーん、これは客なのか、ヘルパーなのか?

ヘルパーという話は聞いてなかったが、「一宿一飯の恩義」という訳で民宿の夕食の手伝いと布団敷きを手伝う。
もちろん食事はそれが終わってから。ここでアルバイトの口を紹介してもらうつもりだったが、どうも時期を逃したようで、この時期、最低1ヶ月単位でないとなかなかバイトもないようだ。あんまりゆっくりしてたら、雪が降って帰れなくなりそうなので、台風7号が通りすぎる明日まで、お世話になることにした。

羅臼岳翌日は朝食の準備と部屋の掃除をして、人心地つくと、けっこういい天気だったので、バイクで出かけることにした。
すぐ近くの知床5湖だけ行ってこようと思っていたのだが、「⇒知床峠」の標識を見たら、急に気が変わって相泊まで行くことにした。
珍しく峠の上も晴れている。羅臼へ抜けてもまだ大丈夫。たいていウトロから羅臼まで行くと峠を境にどちらかは天気が悪いのだが。

相泊相泊といっても何もない。
ただ行き止まりの道に標識があるだけ。
でもそれが目当てだったから、写真を撮ってすぐにUターン。
しばらくすると雨が降りだした。走っているとやみ、路面も乾いている。また降りだす、やむ、降る…そんなわけですっかりカッパを着る時期を逃してしまい、部屋に帰った頃は靴の中までずぶぬれ。
でもすぐに風呂に入れるし、洗濯もできるのはわかっていたので気楽だった。

夜、台風は太平洋沿岸部をかすめて通過、雨風がすごい。
まさかこの時期、北海道で台風に遭遇するとは思いもよらなかった。
さすがに5号をキャンプ場でやり過ごしただけに、腹が据わった気がする。
バイクの方はたった一日で、チェーンからエンジンからサビだらけだ。

9月23日(水)滝上浮樹浮木ランド

滝上浮樹浮木ランド

朝から小雨が降ったりやんだりの天気が続いているが、知床地方はしばらく天気が回復しそうにないので、知床5湖は諦めて富良野を目指してそろそろ動き出すことにする。天気が良ければ羅臼で2~3泊したかったのだ 相変わらずのスタンフラリーで、行ってない所をルートで結ぶ。

1日だけのキャンプはしないというのが私の鉄則なので(ただ撤収が面倒くさいだけである―)無料のバンガローがあるという滝上浮樹浮木ランドに泊ることにして電話してみると、5:00くらいまでに直接現地に行って申し込んで下さいと言われ、こんな時期だから空いているだろうとは思ったが、とにかく急ぐことにする。

昨日と打って変わってカッパを着ても寒い。
キャンプ場手前の長いトンネルがまた冷えること!
トンネルを通過する間に標高が上がっているのだ。

売店に行くと「この寒いのに…」と可哀想がられたのか、熱いコーヒーをもらった。
まだ4時にもなっていなかったので、40キロほど先の道の駅にスタンプを押しに行ってくるつもりだったが、あのトンネルの寒さですっかり気が萎えてしまった。
荷物を下ろし、一息つくと売店の閉まらないうちにとビールを買いに行く。
今度は揚げ芋をもらった。

h3-goemonnfuro誰も居ないキャンプ場で奥に古ぼけたテントが一張りあり、なんだろうと思っていたらそれがたった一人のキャンパーだったらしく、バンガローまで売店のおじさんがくれたという、今度はとうもろこしを2本、持ってきてくれた。
彼は、炊事場の前に置かれた怪しい五右衛門風呂を薪で沸かし始めた。下駄を履いて入るのだと言う。誰も居ないし、真っ暗だからどうってことないのだろう。でも私にはワイルド過ぎる。
適当に買出しはしてきたのだが、おじさんの差し入れだけで充分、今日はビールを主食にしよう。

管理人
ここももう今はないんですよね~。なかなかいいところだったのになぁ。

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9月24日(木)ついていない一日・・・

上士幌に入ると、トンネルを超えたとたん路面が濡れており、小雨が降っていた。
前回にこの辺だけの集中豪雨にあった記憶が甦り、すぐさまカッパを着込む。案の定、わずか20キロ程の区間だけで激しい雨にあう。

帯広を抜け、そろそろ時間を気にしながら走っていると、突然それはやってきた!

「うっそ~!」

こんな所でねずみ取りに引っかかるなんて!
40キロのところ28キロオーバーだそうで、ちなみに数キロ走って気がついたのだが、R236で襟裳岬をパスするつもりが、手前の分岐を見落としていたようで、予定どおりに走っていたらあの場所は通っていなかったはず。
おまけにそれに気がついてUターンすると雨が激しくなったせいか、既に取り締まりは終わっていた。…あと10分遅かったら…

7月のツーリングで捕まったばっかり・・・
あと、1ヶ月でそれが消えたというのに・・・トホホ。

雨は激しくなるし、真っ暗な山道を60キロも走らなきゃならない。

罰金の15000円も痛いし、免停にリーチがかかってしまった。
日は沈んだというのに、今日の宿は決めていないし、「今日は最低~もういや!帰りたい!」とはじめて思った。
だから街の灯りが見えたときは、ほっとした。三笠の有料のキャンプ場へ行くべきか、そこより20キロほど先のライダーハウスに行くべきか…。

問題は「今日の雨」。
時間はというと既に6時を過ぎている。
明日確実に晴れるならテントを張ってもいいのだが、あいにく今日は天気予報を聞いていない。

と、いう訳で静内のツーリングトレインが今日の宿となった。
女の子は一人だったので、オーナーに言われて畳一帖ほどの個室に入った。古ぼけてはいるがマットレスがあったのが今日の私には、有難い。

明日は富良野へ行こう。でもつまらなかったらそろそろ帰り支度を始めようかなぁと、珍しく弱気な私であった。

9月25日(金)ジローのお父さん

早々と同宿人達は出て行くが、富良野までと決めた私は、雨が上がるまで待つことにする。
ようやくスタンプ帖も取り戻したし、しばらくはのんびりとしよう。

上富良野の日の出公園へ行くと、なんと工事中でキャンプ場は閉鎖されていた。
来年は有料のオートキャンプ場になるとかならないとか?。
仕方なく中富良野森林公園へ行く。
ここは今年から今まで使っていた保養所の風呂が土日しか使えなくなり、前回はやめたのだ。
雨に敏感になっている私は、入念にサイトを探す。
なんだか、ブルーシートが目立ち、まるで鳥沼のようだ。

h3-jirou「愛犬ジローと日本一周」と書いたテントをメンテナンスしているおじさんがいる。
7月にスクーターでこんたの丘に居た所を見たことがある。
聞くと阪神大震災募金活動の為、5月から渡道し、ここをベースにあちこちに募金活動に出かけているらしい。
今年で5回目とかで、去年から近くの農家の人が車を貸してくれて、北海道に居るときだけは装備も充実しているのだとか。
隣のテントの友美ちゃん(金沢、とほダー)と、十勝岳温泉に連れて行ってもらう。
日本で一番高いところにあるという、ここの露天風呂は眺めも最高。
浴槽が2つあって、山に突き出したほうはかなりぬるめでいつまでも入っていられそうだ。もう一つの方は岩をくり貫いたような造りになっており、洞窟の中へいるような気分だ。結局一度も内湯に入らないまま1時間ほどで上がった。

夕食も3人でおじさんのテントサイトでビールから何から何までご馳走になりっぱなし。
結局ここに居る間ずっとおじさんが風呂の回数券までくれて、本当にお世話になった。
夜遅くに車を貸してくれているというWさんがおじさんに「ファックスが来たよ」と届けにやってきた。
彼は北海道病にかかり、数年前までは鳥沼の常連だったとかで、今では中富良野で農業と中古車ブローカーのようなことをやっている。
ここには「ジローのおとうさん」と書かれた郵便ポストがあり小包まで届くのだ。ないのは電気だけ…というと、「自動販売機の電源が2つ空いてるから来年は炊飯器でも持ってこようか」などと言われた。

管理人
ジロウのおとうさん、この頃は有名人でした。既にジロウもなくなり、おとうさんも身体の具合が悪くなって旅には来られなくなりました。

9月26日(土)

途中でメーターケーブルが切れた。
ここ数日クラッチワイヤーも動きが鈍く、ワイヤー類は2万キロほどノーメンテなのでどこかで予備を買おうと思った矢先のことだった。

ついでというには遠いけど、せっかく道北まで来たのだからと、音威子府まで足を伸ばす。
ここはJRの駅の立ち食いそばが美味しいと聞いていたので早速頂く。駅には乗客は居ないのに、12:00を過ぎたとたん、地元の人達が次々とやってきて注文する。つなぎを一切使わないという幌加内そばは真っ黒で見た目は悪いが味は最高。
そばよりうどん派の私でさえも、本当に美味しいと思った。

旭川でワイヤーを交換する。
クラッチの方はハンドルを変えているので社外品しか合わず、取り寄せに2週間ほどかかるらしいので給油で誤魔化した。

今日はおじさんを尋ねて里美ちゃんがやってきた。
神奈川に住み、新婚半年のフリーのレポーターで、オフロードバイクを足に世界各国を飛び廻っている。
旦那もライダーで、好きなバイクに乗って生活している彼女が羨ましい。
もう一人、今度は弟子屈からNさんが新鮮なイカをもってやってきた。53歳だという彼は、早めに退職して、余生を楽しむために愛知県から、北海道にやってきて、今は弟子屈に1200万で買った家に温泉を引き、露天風呂まで造って、悠々自適の生活を送っている。夏の間はこの中富良野へテントを張りっぱなしにして、気が向いたら250ccのスクーターに乗って遊びに来るのだそうだ。今日はそのテントを撤収するため、軽トラでやって来た。

9月27日(日)

今日は旭川から一組の若夫婦(よっちゃん、へそくん)がやって来た。
静岡に住んでいた彼らは、毎年北海道にツーリングに来ていて、ついに今年移り住んだのだという。

ここに来て内地から移り住んだ人達の度胸に圧倒されそうだ。
要は決断なのだ。

Wさんが市場から3キロもあるタラバガニを買ってきた。
私が「広島風お好み焼き」を披露して、充分満腹だったのに、これは別腹、あっという間に平らげる。
昼間から食べつづけ、飲みつづけ、仕上げは鉄砲汁で、私の「ダイエット作戦」はどうなったのか!

9月28日(月)

夕張に美味しいラーメン屋があるというので、行ってみる。
「のんき屋」というその店はようやく5~6人が入れる程で、おばあちゃんが1人でやっている。
感心したのは、電話が鳴っても出ないのだ。もう一度かかってきた電話に「ラーメンを作っているときは麺がのびるからでない」と言ったこと。今回始めて「美味しい」と思ったラーメンだった。

「幸せの黄色いハンカチ」広場へ行くと、「台風のため竿が折れ黄色いハンカチは撤収しています」と立札があった。
建物のなかで流されているあの映画のラストシーンは泣いてしまいそうだったので途中で見るのをやめた。
置いてある黄メモに「幸せになれますように」と書いて、壁に張る。黄色のメモだらけで壁が見えない。

千歳からR12に入り、道の駅のスタンプを2つget。これで残すところ道南のみとなった。

美瑛 新栄の丘の夕陽 98’7あんまり天気がいいので、美瑛の新永の丘まで夕陽を見に行こう。が、思ったより陽が沈むのは早く、かなり暗くなっていた。あと10分早かったら、もっときれいに見えただろうに・・・。
さすがに陽が沈んでからの寒さといったら半端じゃない。今日は風呂は諦める。


管理人
のんき屋はお母さんがなくなり、今は本州に住んでおられる娘さんが単身赴任でやってきてやられています。
やっぱり、味はちょっとかわっっちゃいましたね。

9月29日(火)

昨日風呂に入り損ねたので、今日は陽のあるうちにゆっくり温泉に入ろうと、昼いちでハイランドふらのへ行く。休憩所で昼寝でもするつもりが、近所のじいさんばあさんが、離れて座ったまま、大声で話すのでとても昼寝どころではない。
聞くともなく聞いていると、皆それぞれに「如何に自分が可哀想か」自慢みたいなのをやっている。
笑ったのは後から来たじいさんが90歳も近いというばあさんに「〇〇はん、まだ生きとったんか」と言ってえらく逆襲されたこと。やっぱり、歳はとっても口では女の方が強いんだねぇ。

9月30日(水)

今日はよっちゃんとおじさんに札幌ラーメンツアーに連れて行ってもらう。
旭川でよっちゃんを拾い、札幌まで3時間ほど。
「満龍」は味噌味でボリューム満点。最初は冗談で言っていたのに、今度は旭川ラーメン村は「山頭火」の塩ラーメンを食べよう、ということになり、秀岳荘、石井スポーツとアウトドアショップで時間をつぶしたあと、夕方にまた、ラーメンを食べる。
どっちかというと、私はこっちの方が好きだな。塩ラーメンといっても、わりとこってりめで、量は少なめだから、これがメインだったらご飯くらいはほしいかな。うん、ご飯に合いそう。

キャンプ場に戻ったのはすっかり暗くなってから。
おじさんも私も明日には出発するので、今日は残り物の野菜を片付けようと、シチューを作った。
今日も二人で缶ビールを6本空けて、ジローは好物のステーキをもらって夕食を終える。

10月1日(木)

今予報によると道南は全体的に雨らしい。

一気に東大沼まで行く、という無謀な考えを改め、倶知安泊りにする。
倶知安はここしばらく、毎朝気温が低いのが気になるが、この時期それでなくても人気のない道南で、下手にマイナーなキャンプ場に行くと、「誰もいない」なんてことになりかねないので、要領のわかった旭が丘が手頃だろう。

まだ、雨は降り出していないが、雨支度をして出発。

旭が丘に着くと、雨のせいで数人のキャンパーが炊事場でたむろしている。
結構バイクも多く、私と同じようにこの雨の中をやって来るライダーもいる。
たまたまテントを張った横に、中富良野で一日だけ隣にいたK氏(静岡、オフ)がいて、なんとなくほっとする。
時間も早かったので、雨の中、傘を差して近くの倶知安温泉へ行き、帰りは駅まで出て、100円ショップとスーパーで買いものをする。明日も雨だろうから、籠城するつもりでビールも欠かさない。

夜遅くに風が吹き始め、その音といったら、こないだの台風並で、慌てて、外を覗いてみると、タープ代わりのブルーシートを風にやられ炊事場に逃げ出しているキャンパーや、サイトにバイクを乗り入れ、それにテントを固定しているキャンパーなどいて、私も慌ててペグを追加し、バイクの方も心配で、気休めにギアを入れておく。
それでも知らぬうちに朝まで熟睡しているのだから、慣れとはおそろしいもの。

10月2日(金)

相変わらず風も強く、雨も激しい。
一日中テントの中で本を読んで過ごす。

夜になって、炊事場で皆で焚き火を始める。
私はまだ1日だが、2日間ここで缶詰になっているライダーの多くは明日晴れたら移動するようで、せっかく仲良くなれたのに残念。

10月3日(土)

残す所10個となったスタンプのうちの7つを、今日一日で廻ることにした。

600キロはあるので、早朝7:00に出発する。

本当にスタンプラリーで道の駅から駅の移動だけの一日で、見所といったら函館と、大沼くらい。
おまけに海岸沿いは工事で片側通行が多く、それも待ち時間が長くて気があせるばかりである。

昼をかなり過ぎてから、函館に入り、「ラッキーピエロ」でハンバーガーをほおばる。
駅前のマクドナルドを撤退させたという、ここのハンバーガーはすべて注文を聞いてからの手作りで、15分ほど待つことになるが本当に美味しい。ドリンクもMサイズがマクドナルドでいうLサイズ並で、もちろんハンバーグもビックマック並。

最後のスタンプを森でゲットして、大急ぎで倶知安へ帰る。5:00を過ぎるとやはり寒い。

10月4日(日)氷(ヒョウ)!!!

はっきりしない天気!

降ったかと思えば、青空が見え、また雲が流れて降り出す。
晴れるたびに出かけようと支度を始めると、また怪しくなる。

とうとう、ばらばらとすごい音で氷が降り出した。

昼過ぎについに、出かけることを諦め、街まで洗濯に出る。
ようやく雨が上がったのは2時ごろだった。

中途半端で一日損したような気もしたが、まぁたまには休養もいいかな。

そして、羊蹄山に雪が降った。

10月5日(月)雪秩父

大湯沼ニセコは温泉が多いのだが、その中でも湯元温泉の国民宿舎「雪秩父」がいいと聞いていたので、道南最後の今日、行って見る事にした。
古ぼけた建物で半信半疑だったが、露天へ行ってみて、納得。
チセヌプリのやまなみを眺めながら、6つもある露天を順番に入っていく。
ここは全国でも珍しく、2種類のお湯が沸いている。
女風呂だけにどろ湯があり、試しにどろを顔に塗ってみた。きれいになれるかな。

洞爺湖、大滝、神恵内とようやくスタンプラリー全駅制覇。
思えば、馬鹿らしく途中でもういいや、という気になったこともあったが、1人で走るのにきっかけになって良かったと思う。半
分意地になった面もあるが、何も目的なしで走るより、走り易かった。もう一つの目標のダイエットの方もなんとか達成できた。

管理人
雪秩父は建物老朽化のため、2014年に取り壊しになっています。
再開予定は2015年9月とのこと。

10月6日(火)

今日はどこで夜を明かそう?

小樽近くのライダーハウスは、7月にバイクへのいたずらが多発していたので、24時間営業の小樽温泉で仮眠することにしようか。
そうと決まれば、夜まで時間はたっぷりあるので、余市の「カキザキ商店」へ行こう。
安いと噂のこの店ではなんと、体長30cmくらいの秋鮭が1匹200円、50cmでも300円で売られていて、買おうか買うまいか散々悩んでしまった。
結局、生では配送は難しいかな、と買わずに終わったのだが、滞在中なら、鮭に限らず、何人かでまとめて買って、調理したのに…。

2階にある同じ経営の「海鮮工房」ではほっけ定食が360円!
時価で本日の「うに丼」は1890円!安い!
ほっけ定食を食べたが、ほっけも皿からはみ出るほどデカイ!

最後に土産探しも兼ねて、小樽の街を散策する。

と言っても、行く店は決まっているのだが。「おれの小樽」では道内全域の土産がたいてい揃って、纏め買いすると安くなったりするので、義理土産を選ぶには最適。
なるべく、安くてかさばらず、見栄えのいいものを探す。

小樽温泉は最終日に使用するのは今回が始めてである。さ
ぁ、寝袋を広げて寝ようと思ったら、目の前に「寝袋などの荷物を広げないで下さい」と張り紙がしてあり、仕方なく広げた寝袋を元に戻す。
どうやら、有料で毛布を貸し出しているようだが、財布の中にはもう数千円しか残ってないので、やむなサバイバルシートだけを掛けて寝た。まぁ2000円で仮眠できるのだからよしとするか。

10月7日(水)思わずどきっ!安全運転・・

最終日に悔しいくらいの青空。

8月に美深で一緒だった「大魔王」とフェリーの船室で一緒になった。
フェリーの中では、4人のライダーと同室だったのだが、帰り道のR173で、私を抜かして行った神戸ナンバーのニンジャがトンネルの中で事故っていた。
無理な追い越しで対向車とぶつかったらしい。
幸い、怪我はたいしたことなさそうだったが、バイクの方はかなりのダメージで、やはり同室だったNSRの兄ちゃんと、散らばった荷物を集め、バイクをトンネルの外へ出す。
本人は「大丈夫だから」と、気にはなったが、何もできないので、事後現場をあとにする。

他人事だが、不運なことだ。
確かに飛ばしていたからなぁ。

幸い、私は度重なる違反で点数がないものだから、黄線は絶対に抜かないようにしていたし、前に車がいなければ制限速度+20キロ未満を守っていたのでよかったが。
今後も運転には気をつけるようにしよう。とはいえ、さすがにしばらくは乗らないだろうな。

今年は、春から秋までで20000キロは走った。ゼファーもさぞかし疲れているだろう。明日は、ピカピカに磨いて、休ませてやろう。

後記

読み返してみると懐かしいです。
まだかろうじて「女の子」と言えてたころかなぁ(笑)
今はなくなったお店やキャンプ場、北海道の景色もずいぶん変わってきた気がします。
観光施設は快適になった分、味がなくなったような気も・・・

 

 

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